゛夏雲の 彼方にありて 一周忌 ゛
これは、今月初め、昨年亡くなった母の一周忌に、母の弟である叔父が、薄い墨絵と共に、色紙に書いて仏前に
供えてくれた俳句である。
母とこの叔父は、腹違いの姉弟であり、年も離れている。母は91才であったが叔父は70代の前半であり(多分)、ま
だまだ若々しい。
幼いときもとても可愛がってもらった思い出がある。
俳句と墨絵を能くし、母にも季節の節目節目に贈ってくれていた。
いつもニコニコしていてひょうきんで、楽しい人である。
そんな人のさりげなくも、悲しみにみちた句。
その日、遠くの空に、入道雲があった。
簡素でさりげないゆえに、忘れられないものとなった。
昨年のうちに、高齢ではあったが三人の親が相次いで亡くなった。
風が三千ふえた。
館が森にも涼やかな秋風が届く。
今日も。
橋本志津